LIFE
第11章 見つめていたい〜eyes〜
あいばさん
あいばさん
下の名前も知りたいなぁ。
「くふふ」
そういう可愛い笑い声も聞けた。
放課後になっていつもの位置で校庭を眺めてると誰もいないと思ってたのに後ろから声をかけられてビクンとなった。
「二宮?」
振り向くとクラスメイトの松本くんが机の中をゴソゴソしながら僕を見ている。
陸上部だったよね、松本くん。
知ってるよ?
あいばさんと同じ部活だから校庭で一緒にいるところを見てたもん。
「松本くん…忘れ物?」
おどおどする僕に尚も屈託なく話しかける。
「そう。宿題のプリント。
やばい、やばい。」
勇気を出して僕も返してみた。
「部活、もう終わったの?」
「おう。終わった。
疲れたー。
二宮、もう帰る?
一緒に駅まで行こうぜ!」
え?
僕なんかと一緒に帰ってくれるの?
くすぐったい気持ちを隠して黙って眼鏡越しの目で松本くんの動きを追うと、
「ほら。帰るよ?」
身支度を整えて僕の机の上の鞄を掴む松本くんのそばへ向かった。