LIFE
第18章 つかまえたい!
単純作業に手が慣れてスピードに乗る。
壁の時計の針を見て、後1時間でこの山は片付けようと漠然とした目標を立てて気合いを入れた。
村上が任された仕事を手伝うように言われてここへやってきた。
入れる順番を気にも留めず取り掛かった村上はこの後、仕事の進み具合を見にきた二宮さんに叱られることとなる。
俺も確認しなかったんだから一緒に叱られて当然だけど、そこは最初に任された村上が当たり前だけどメインで注意された。
俺は自分の教育係が顔に似合わずキツいのにビビりながらも、どこかうわの空。
今までは淡々と仕事の流れの指導やその日の業務の指示を受けるのみで、必要最低限の会話しかしてなかったから。
手を動かしながらさっきの二宮さんを思い浮かべる。
いつもいい匂いだなって思ってたんだけど今日もいい匂いで。
なにつけてるんだろ。
顔は普段着だと学生さんですか?って言われてそうな童顔で、水分を含んだうるうるの瞳や、ゆで卵をむいたような頬にいつも釘づけ。
今日は、華奢な腕に見惚れてしまって完全に魂持ってかれたし。
男なんだけど、二宮さん。
でも俺は男とか置いといて、とにかくどうすればこの人と親しくなれるのか…
ってことを考えはじめていた。