LIFE
第20章 つかまえたい!〜scene3〜
一度、下を向いてもう一度ちゃんと俺を見て二宮さんは口を開く。
「しなかった。」
「へ?」
「フラフラも、浮気も。」
俺につられてた泣きそうな顔はなりを潜めてにやりと笑ってる。
「俺も自分のことながらフラフラすんじゃないか心配だった。
心配っていうかさー、するんだろうなぁ、って諦めなのか、思い込みなのか、」
黙ってる俺に話を続けるのを嘘みたいな気持ちで眺めてた。
ちょっと照れくさそうに。
だけどドヤ顔になっていくのを。
「それがさ!全然、大丈夫だった。普通に家に帰ったし。自分の出張なんて、当たり前になんともなくて、疲れたー、ってくらいで。週末、お前に甘えたりなんかして癒されようとか思ってたのにお前が出張なんてなんの意地悪だよ、って、」
怒った風な表情を見せた後、他人事みたいに、まったくなー、ってブツブツ言って笑った。
「週末の俺の癒しがなくなって、平日、あと何日あんの?、って悶々として。こんなの先輩にされて断れないと思ったけど、俺の我儘きいてくれんのかな、って。お疲れの相葉くんに悪いと思ったけど、」
こんなに沢山喋ってくれて。
全部、イコール好き、って聞こえて。
まだまだ聞いていたい気もするけど、唇めがけて飛びついた。