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BOXルーム

第2章 F☆MIX

「僕はシーモンて名前で登録してるんですよ。でも、マイページには本名書いてますけどね」


 初めて、同じユーザーに出会えたことに、下里は軽い興奮を覚えた。もちろん、興奮の8割は他のことだが……。


「え? あんたもユーザーなの? 私は『まりん』で登録してるの。まさか、マイF?」


 まりんと名乗る女性は、本名は万里由依(ばんりゆい)26歳。名字から「まりん」と名乗っている。


 まりんは肩まで伸びた髪をかき分けながら、下里に冷たい視線を送る。


「いや……僕には、三人しかマイFいませんし……その中には、まりんって名前は入ってないです」


 下里は、まりんが明らかに自分をまだ怪しい目で見ていると悟った。


「あ、でも、BOXルームのコミュで、まりんさんの名前は見たことありますよ」と、話を合わせようとするが、実際は名前等記憶していない。


「ふ〜ん、シーモンって私、知らないし」と返す言葉も下里には、軽いローキックを食らわされた感覚だった。



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