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第6章 執事たち

 真綾は一冊の本を手に取った。


「あっ!! これって……」


 それは、台本だった。


「わっ、本物の舞台の台本!?」


 好奇心からか、その台本を捲って見る。


 几帳面に自分のセリフには赤い丸をつけ、漢字の横にはフリガナが振ってある。


「凄い、こんなの覚えるんだ……」


 真綾は台本のタイトルを見る。


 白い表紙に黒く太い字で『箱部屋』と、ある。


「はこべや? どんな話かな? ちょっと見ますよ〜」


 真綾が台本の1ページを捲り、読もうとした時だった。


「ちょっと、これ大丈夫なんですか!?」


 ケンちゃんの声だ。


 真綾は慌てて自分の背中に隠す。


「いや、こうなっちゃったもん仕方ないでしょ。てか、モニター映ってなかった?」


 松の声も聞こえる。


 真綾は腰を低く下げ、ももっちのバッグに台本を入れた。


 ケンちゃんと松が顔を出す。すると、そばにもう一人女性がいるではないか。


 真綾はその女性に見覚えがあった。


 その女性は不思議そうに厨房を見ている。


「僕がルキア様に怒られますよ。どうするんですか……」


「けど、結局は抜け出たらいいんだろ? 一人だけクリアでいいじゃない。俺がなんとか言っておくよ。まりんさん、ここで飲み物でももらって、待ってたらいいよ」



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