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第6章 執事たち

「ここから出たいんですけど、携帯も財布もカバンもみんな取られたままなんです。なにか知りませんか?」


「店には服しか置いてませんでしたよ……あ、私も荷物を店に置いたままだ……」


「店に置いてないかなぁ?」


「見に行ったんですが、服しかありませんでした。そう言えば他のお客様やスタッフはどこに行ったんだろ……」


 何気に思い出したことが妙に気になりはじめた。


「私、もう一度お店を見て来ます」


 真綾はそう言って立ち上がった。


「あ……じゃあ、私も行きます。でも、この寝ている人は?」と、まりんはももっちを指差して言った。


「彼女は無敵ですので大丈夫だと思います」


「む……無敵なんですか……」


「数人のボディーガード相手に、たった一人で立ち向かって、二人を再起不能にしたと、つい先程伝説化させてましたから」


「逞しいですね……」


 伝説化しているのは真綾の想像の世界のみだった。


 二人は控え室を出るとエステサロンに向かった。


 しばらく歩いていると、前方から三人の男女が現れた。


「真綾さん……あの人達も裏方さんですか?」


 まりんは顔を寄せ小声でそう聞くと、真綾は少し考えて、ハッとした。


「あ、きっと、あの人達もまりんさんと同じ境遇に合った方ですよ……たぶん」




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