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BOXルーム

第7章 時間を、また戻してみる

 中年のおばさんにしては、ネット事情に詳しい。ただF☆MIXのみだが……。


「で、あんたのFネームは?」


「あ……僕ですか……あの、僕はホルモン王子です。実家がホルモン焼きの店で、その屋号からつけました」


 Fネームを口に出すのは恥ずかしいのか、照れ臭そうに言った。


「あら! でも、王子ってかっこいいじゃない。お兄ちゃんイケメンだから似合うわよ」


 母親くらいの人に言われても、嬉しくはなかったが、愛想笑いでごまかした。


「でも、本名は鍋谷鬟(なべたにかん 23歳)と、言います」


「鬟(かん)の字って、どんな字? それどんな理由で付けられた名前なん?」


「謎なんですよ。それに口で説明できないくらい、難しいんです。電話で聞かれたときなんて、ややこしくて……漢字一文字なんですが、原稿用紙に書くと、マス目が2ついります」


「ある意味、キラキラネームより難があるわね。私はピイコって言うの。私の好きなマンガのキャラクターの名前やねんよ。本名は堂州佳苗(どうすかなえ 51歳)言うの。よろしくなぁ」


 ピイコは満面の笑みで自己紹介をした。


「で、こちらのお嬢さんがのたまんちゃん。可愛いでしょう」


 ピイコは自分の娘の様に紹介する。




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