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BOXルーム

第2章 F☆MIX

 るかは今まであったことを、座椅子にもたれながら男に話した。


 男は正座して、背中を丸めながら話を聞いている。


 壁際には、まりんと下里が並んで正座している……いや、正座させられていた。


 話を聞くと、男もF☆MIXのユーザーであり、BOXルームのコミュニティに入っていることがわかった。


 本名、岡山桃児(おかやまとうじ)ハンドルネームは「桃太郎」で33歳だと言う。


「僕はオフ会の約束の時間に、少し遅れたんですよ。間に合うかなぁ〜って思ってたら、駅前のカフェでコーヒーの無料配布があって……」


「あ、それ僕も貰った!!」と、下里が立ち上がるが、足が痺れてヨタヨタする。


「君も飲んだ? あの後、すごい眠気に襲われて……」


 桃太郎の証言に下里はハッとする。


 そう言えば、自分も凄い眠気に襲われてたんだと……。


 るかもゆっくりと立ち上がり、下里の右ふくらはぎに爪先で軽く蹴りを入れた。


 下里の痺れきった足には、相当のダメージが与えられる。


「私が喋ろうとしたの。あんた、黙ってなさい」


「うぉおぉおぉ……」と、仰向けになり爪先を伸ばして下里は悶絶する。


「そう言えば、そのカフェで私、プリン食べた……そこから記憶ない……」



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