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第11章 迷路

 のたまんが、力の入ったピイコの右拳を両手で包み込むように握ると、そっと耳元で囁いた。


「もういいじゃないですか。血圧上がってきますよ。現実と向き合いましょ」


 ピイコは、しばらく眉間にしわを寄せて考える。


「なんか、軽く言葉でいたぶられてるようか気がする」




 ようやくピイコの気持ちも落ち着き、三人は再び鉄の迷路を突き進む。


 すると、とこからかいい香りが漂う。トマトソースを炒めた様な香りだ。


「あ……お腹が空く匂いですね」


 ホルモン王子の鼻がヒクヒク動く。あの部屋でポテトを数本摘まんだ程度で、ほとんど何も食べていない。のたまんはその匂いに反応し、お腹が鳴り始める。


「あ……お腹空いてきた……これ、デミグラスソースの香りですかね?」


「なんだろう? そうか、二人は炒飯食べてないもんね」と、ピイコは腹持ちがいいのか、匂いにはそれほど反応しなかった。



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