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BOXルーム

第12章 まりんと松

 松は扉から向かって、左の壁に手を置いた。


「確か、ここが開くんだよな」


 中腰になり、両手を壁に当てて押し上げた。



『ギリギリギリギリ……カシャーン!!』



 きしむ様な音と共に壁が開き、扉が現れた。


「えっ!?」


 まりんは突然の展開に驚いた。


 すると、右端の角の床がゴトゴトと動き出す。


「え!? なに?」


 絨毯の隅が捲れ、パカッと床が開くと、そこから男が顔を出した。ケンちゃんだ。


「あれ? 松さん、そっちから出るんですか?」と、ケンちゃんがコーヒーを片手に松に話しかけた。


 松は振り向いて答える。


「あのさ、そこを閉めて下で待っててよ。コーヒーは貰うからさ」


「あ〜い」


 松がそう言うと、ケンちゃんは頭を下げ、床を閉じた。


「まりんさん、ここから出れますよ」


 松が声をかけると、まりんは戸惑いながら頷いた。


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