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BOXルーム

第12章 まりんと松

「はい、これで下りてきて」


「え!? あ……はい」


 松が笑顔でそう言うと、まりんは恐る恐る階段を下りる。


 下まで来ると、松は壁のスイッチを押した。


 照明が消えると同時に階段の5段目あたりから、下がり始めた。


「ウソ!? なにこれ……」と、まりんは驚く。


 階段の下が通路になっている。


「こっち、頭を下げて中腰になりながら進んでね」


 松が頭を下げ、ゆっくりと階段の下に入り込む。


 まりんも同じ様に頭を下げて通る。薄暗い通路を通るその時、まりんは思った。


『なに、この人……部屋にいた時と様子が違う』



 松は突き当たりの小さな扉を開け、四つん這いの状態で通り抜けた。


 まりんも松の後に続く。


 狭い通路を抜け、松は立ち上がって背伸びをし、ケンちゃんを探す。だが、そこにいるはずのケンちゃんがいない。


「あれ、いないじゃん……」


 薄暗い鉄の通路が左右に延びる。右側の奥には階段がある。



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