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第13章 るかと桃太郎

「待って、るかさん! 一人じゃ危ないっすよ!!」と、桃太郎は止めるが、るかは聞き耳もたずに鉄の通路を歩いて行く。


 遺体が横たわる部屋に知らない者同士ばかりで閉じ込められ、訳のわからないことばかりで、るかの精神はズタズタだった。


 気丈に明るく振る舞っていても、どこかに不安、心配、恐怖が付きまとう。ついに、それがるか自身を占領し始めた。早くここから出たい。帰りたい。その思いから、真の心境のるかが表に出てしまった。


「る……るかさん!!」


 下里は立ち上がって呼び止めるが、るかは小走りで去って行った。


「桃太郎さん、早く追いかけましょう! るかさん一人じゃ心配ですよ」


 下里は一緒に追いかけるように促すが、桃太郎は微動だにしない。


「ちょっと……桃太郎さん!!」


「放っておけよ!!」


 いきなり、桃太郎の口から信じられない言葉が吐き捨てられた。


「行かせとけばいいじゃん。俺達には関係ない、相手にすんな」



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