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第13章 るかと桃太郎

 下里は自分の耳を疑った。さっきまでの桃太郎じゃない。


「いや、何言ってんすか……まりんさんと松さんもいなくなって、今度はるかさんがいなくなって……行きましょうよ……刑事なんでしょ?」


「俺は刑事じゃないんだ!!」


「……え?」


 下里は固まった。いま、なんと言った?


 桃太郎は腰を丸め自分の膝ばかりを眺める。


 桃太郎は言葉を失った。そこから何を言っていいのか分からなかった。


「行くなら一人で行けよ。俺は嫌だ……」


 急に弱気になっていた。部屋にいた時はさっそうとして、頼もしい存在だったのに……。


 なぜ急に、どうして刑事じゃないって明かしたのだろうか?


「桃太郎さん……なんなんです? あんたさっきと違うじゃん……」


 桃太郎は深くため息をついて、顔を上げた。


「つい、かっこつけて、遺体に手を触れたり正義感立たせて振る舞ったけどさ……もう、いいや……めんどくさい」


「えぇぇっ!!」



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