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第14章 シェルター2

 その声を聞いて、純華の力が抜けた。


「……え?」


 純華は男の顔を見た。


「お……お兄ちゃん!!」


 そこにいたのは……






 松だった!


「なにしてんだよ……来てるってのは聞いてたが、どこにいるかわからなくてさぁ」


 松は純華の実の兄だ。


「そんな事言ったってさぁ……私もなんでここに来たかわからなくて……」


 兄である松の顔を見て、純華は安堵の表情を見せた。


「その前はどこにいた?」


 松の質問に対し純華は思い出そうとしていた。ここに来る前の自分はどうしていたのか?


「たしか……エステサロンの待合にいた」


「なんで?」


「イベントのアナウンスを担当してほしいって依頼があって、人の前に出るからとエステ行って美容院に行くつもりで……」


「美容院には行った?」


「エステだけ。なんか、そこから記憶が……」


 松は純華の肩をポンと叩くと、タッタッと下に降りた。


「松さん、あの人は誰っすか?」と、下里が聞いた。


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