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第16章 ルキア

「ま、いいわ。あの頃の恨み、晴らしたかったけど失敗したみたいだし」


「!!」


 まりんの表情がややビクついた。


「男ばかりの部屋に、裸の女を入れたら面白いことになると思って、わざと服を持ってこさせなかったのに……広海が男色趣味だって知らなかったから」


 ルキアの言葉にまりんの背中に悪寒が走る。


 確かに……あの部屋の中は、るかと自分以外は男ばかり。もし、死んだ男がゲイで無かったら……。


 まりんは初めてルキアを怖いと感じた。


「でも、それはまだ我々が秩序ある人間だったから、よかったものの……他の男達だったらどうなってたか」と、桃太郎はそう言ったが、誰も聞き入れていない。


 まりんが、なにを思ったのか、肩を落として俯いた。


「私……あんたに酷いことしたんだね」


 まりんが、ボソッと言った。


「私、中学生の頃、亜紀流……ルキアさんを……」


「言うな!!」


「ーー!!」


「言ったら今すぐあなたを……私はまだ恨みを晴らしてないんだから……」


 ルキアの目が怒りの視線を放っていた。



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