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第16章 ルキア

「お二人の過去に何があったかわかりませんが、もう充分でしょ」


 下里は宥める様に言った。だが、ルキアの興奮がおさまらない。


「この女は私に精神的にも肉体的にも屈辱を与えた。どれだけ心の傷を受けたと思ってんの!!」


 まりんは頭を上げることもなく、ただそのまま踞っていた。


「こいつが、コミュニティに入った時から気にはなってたの。参加表明してから調べたら……やっぱりこいつだった。私はチャンスだと思った。運良く私が経営するエステに入ってくれたけど、作戦は失敗に終わった。楽しくするはずのオフ会もくだらない事件のおかげで失敗して、こいつへの復讐も失敗して、今日の私、最悪よ!! 全て壊してやる……この女を始末して」


 ルキアは台の下からピストルを持ち出した。


「おい!! 待て!! それ、やりすぎだろ!!」


 桃太郎が止めに入る。


「桃太郎さん、お願い、止めてよ。刑事なんでしょ!!」と、るかは言うが、桃太郎は本物の刑事ではない。


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