テキストサイズ

BOXルーム

第3章 急展開……

「もしもし、お兄さん。起きて下さい」と、言って下里は男の体を揺さぶる。


「すいません、起きて下さ〜い」


 いくら声をかけてもピクリとも動かない。


 桃太郎はテーブルにある烏龍茶のグラスをひとつ取り、男の顔にソッと当てる。しばらくすると、顔を背ける。


「ん……冷たい」


 男は顔に手を当てて身を縮め、やがて、ゆっくりと目を開いた。


「あ、気が付きましたか?」と、桃太郎が声をかける。


 男は半身を起こし、キョロキョロと周りを見渡す。


「え!?」


 男は困惑した表情で部屋を見渡し、そして、一人一人の顔を見た。


「え? なに? なんなんだ?」


 床に座り込みながら後ろに下がっていく。


 おそらく、起こり得ない身の危険を感じているのだろう。


「待って下さい。落ち着いて、話だけでも聞いて下さい」と、桃太郎が言うと、男は強張った表情でウンウンと頷いた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ