テキストサイズ

BOXルーム

第5章 時間を戻してからの、話

「どうしよう……てか、ここはどこよ……あのデカイ男に聞くのは怖いし……」


 ももっちは、スカートのポケットの中を探るが、ハンカチしか出ない。


「あっ!!」


 何かを思い出したのか、自分のスカートを捲り上げた。スカートの下にショートパンツを穿いており、その後ろのポケットに入っている、ある物を思い出した。


 その何かを手に取って見る。


 それはドラマのちょい役で、女刑事をやった時に使用した警察手帳だった。


 もちろん小道具で、当たり前に見破れる偽物だが、ハッタリ演技には使える。


「後は自分が役者としての技量を試すとき」


 裏側はセロハンテープで貼り付けてあるデタラメ物だが、そのつもりで見せればたぶん騙せる。


 ももっちは警察手帳を片手に堂々と扉を開けた。


 開けたすぐそこに、黒いタンクトップがはち切れんばかりの巨体男が、扉の前に佇んでいた。


「……」


 やっぱり怖かった。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ