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BOXルーム

第5章 時間を戻してからの、話

 真綾は、なぜか厨房にいた。


 中は広く、電子レンジやオーブン、ガスコンロ等が並び、巨大な冷蔵庫が厨房の奥を占領している。床はタイル張りで、長靴か、サンダルを履かなければならない。


 真綾は毅然としているが、内心の不安感が表情から垣間見える。


「あの……私は何を……」


 白いエプロンを腰に巻き、ピザの具を並べているケンちゃんに真綾は尋ねる。


 ケンちゃんは何も言わず、一人、広い厨房を駆け回り、吊るされた紙を見ながら料理を作っている。


「あの……何かお手伝いいたしましょうか?」


 恐る恐るもう一度尋ねてみた。


 ケンちゃんは手を止めることなく、巨体を揺らしながら、体に似合わないスピードで作業をこなす。


 出来上がったのは、厚紙の容器に入ったポテトフライに、大きな皿に盛られた炒飯だ。


 ケンちゃんはその2つを、ステンレスの台に置いた。


「炒飯にラップをかけて、スプーンとつまようじをつけて、シェルター3に持って行って下さい」


 ケンちゃんはそう言うと、壁に埋め込まれている6つのモニターを眺める。


「あ、まだ持って行かないでね……様子見なきゃ……」


 ケンちゃんは、ジッとモニターを見つめる。


「ここだ!!」と、どのタイミングかわからないタイミングで、赤いボタンを押す。



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