テキストサイズ

BOXルーム

第5章 時間を戻してからの、話

「ケンちゃん、とりあえず頼む。お姉さん、ごめんなさいね」


 男はそう言って頭を下げると、真綾は相手の顔を見ながら頭を下げる。


「かまいませんけど……何かあったんですか?」


「僕も今回のシステムの意図が、よく判ってないんですよ。ただ、手伝えと言われただけで……おたくも大変ですね」


 どうやら真綾を、同じ境遇の同士だと思っているようだ。


「あ、そうだ!! シェルター1の参加者の女性がエステの店に服忘れてるらしいんよ……エステで全裸になるの?」


「私のいる店は潤いと、10代のような肌の張りを甦らせる、オイルマッサージってのがあるんですよ。それは全裸になって頂いて、私達が念入りにマッサージさせてもらってるんです」


「それは男性でもあり?」


「男性はご遠慮願ってます……」


「なるほど、それはまた別の店ってことですな」


 こいつなに聞いてんだよ……女性にする話じゃないでしょ!? 真綾はそう思った。


 壁に貼られている見取り図を指差し、男は言った。


「ここに書いてあるエステサロンに置いたままなんだって。取りに行きたいけど、男が入って大丈夫なんだろうか?」


「あ、大丈夫です。私も一緒に行きましょうか?」


「え、いいんですか? てか、あなたは?」


「私は、このエステサロンのスタッフです。だから、私も一緒に行きます」


「あ! なるほど、だからそんな制服なんだ」



ストーリーメニュー

TOPTOPへ