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第5章 時間を戻してからの、話

 真綾の表情が曇り出した。


 なにか、恐ろしい事が発生したのかも? と、いう不安が胸を圧迫させる。


「それより、早く女性の服ってのを探さないと……真綾さん、入って見てきてよ。僕が入るわけにはいかないでしょ」


「わかりました。ちょっと見てきます」


 真綾が奥に入って行く。


 淡いオレンジ色の照明に店内には女性特有の香りが漂う。カウンターに乗っている試供品の化粧水を手に取ると、松は蓋を開けて、中を匂う。


「うわ……トイレの芳香剤の匂いだよ」


 真綾が女性物の服を抱えてきた。


「ありました」


 白いキャミソール、デニムの短パン。黒いメッシュ地のカーディガン。そして下着。


「シェルター1にこの服のお客様がおられました。間違いないです。でもなぜ、あの方が……」


「とにかく、早く戻りましょう」


 真綾の疑問を打ち消す様に、松は先を急ぐ。



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