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BOXルーム

第5章 時間を戻してからの、話

「シェルターって文字が見えたと思ったら、階段だけあってなんにもないし……」


 ブツブツと文句をいいながら、鉄の色の要塞の様な通路をさ迷っていると、三人の男女が前から歩いてくる。


「やばっ!!」と、ももっちは隠れようとするが、隠れる場所が無かった。


 前から歩いてくるのが見えた時点で、すでに見つかっているわけで、今さらな感じがするが、ももっちは壁にへばりつき必死に同化しようとしていた。


『バカにしないでよ。私は売れてなくても熟れている女優なんだから。壁になりきる演技が出来なくて役者とは言えないわ!!』


 壁と言う役を与えられるのは、小学校の学芸会くらいなもんだが、もはやプライドを無に変えてしまう勇気だけは、女優を越えたと言えよう。


 三人は何もいじる事も無く、ももっちの前を通りすぎた。


 本当に壁だと思われたのかも知れない。


「なんか、それはそれで悔しいかも」



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