お姫様は海に恋い焦がれる
第4章 生誕祭!うさぎ争奪戦
「…………」
「貴女の所為だ!!貴女がキザ野郎だからっ……私はお団子を貴女の相方に奪われたのよ!!」
「落ち着け」
「失恋パーティーだ!!ヤケ酒だ!!付き合え!!」
「生憎、地球で未成年の飲酒は……」
「私も下戸だわ!とにかくパーティーよ!!責任とりなさい!!」
「…………」
はるかの脳裏に、ふと、みちるがうさぎを奪還する間際のことが蘇った。
うさぎが友人達を呼ぶと話していた。さすれば、ここは適当な返事を寄越し、この地獄のような個室を解放されさえすれば、あとのことは夜天や大気に押しつけるのが賢明だ。
「良いぜ」
「ふふ、それでこそお友達」
「別のお友達を紹介してやる」
「お団子のことは諦めるわ。この際よ、貴女でも良いかも知れない」
ファイターの妖艶な唇に、不穏な微笑がちらついた。
「一応ネ◯フの関係者だし」
「……………………。何の話だ」
たった五分の晦冥の旅は、はるかに深刻な疲労を刻んだ。
「お帰りなさいま──…ひぃぃっ?!」
星野に熱っぽい視線を投げかけていたスタッフが、ファイターを見るなり青ざめた。
はるかが期待した通り、星野は変身をとくのを失念していた。
スリーライツのスキャンダルを阻止すべく、星野が罪なきスタッフをバックヤードに連れ込んで、長い長い失恋話を夜通し聞かせたのは、暫く戦士らの間で語り継がれた。
<完>