とかして。
第1章 光が世界を染め変える
月の王国が存在していた遥か昔、ウラヌスもシルバーミレニアムの後継者に心惹かれていた。
届かない想い。
外部太陽系戦士は、その戦闘能力故に、常にプリンセスの耳には入れられない類の仕事を担う。
綺麗になることは許されない精神、汚れた手。
ネプチューンは、最愛と呼んだ彼女と身体を重ねた。心優しいプリンセスの胸裏に甘えられないよう、ウラヌスの痕を身体に刻んだ。ネプチューンも、ウラヌスの頼みに応じて、臈たけたその肉体を抱いた。
あの世界では、外部太陽系戦士は異質だった。
だが、この地上では、うさぎのように無垢な少女こそ異質だ。
誰もが我執をルールにして生きている。誰もが些細な正当のために、多大な犠牲に目を瞑る。
タリスマンが宿るほどの清らかな生命を狩ってまで、灰色の社会を生かすことのどこに意味があるのか。
それでも、この世界にはうさぎのような少女が生まれた。
好きになった。
「ねぇ、みちるさん」
みちるの肩に、錦糸の重みが被さった。
「今日、みちるさんを探していたんです。みちるさんが近くにいると、なんか……綺麗な星の光みたいなのを感じるから。へへっ、そんなの偶然ですよね。あ、でも、また会っていただけますか?もっと楽しいとこご案内します」
「──……。ええ、……」
うさぎのような少女の生きている世界に、少しだけ、期待を覚えた。
<完>