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とかして。

第2章 有料なら、受け取るってことだよね?


 暁美ほむらと一時協定を結んだあたしは、得体の知れない彼女と連れ立ち、可愛い後輩の働きぶりを傍観していた。


 ほむらにしてみれば、美樹さやかはあの小さなピンク頭を悲しませる難敵らしい。

 つまり、あいつのどこが可愛いか。

 今しがたのあたしの発言は、理解に難儀するのだという。



 あたしも異論は唱えなかった。


 人助けだの正義だのに固執して、ただでさえ高すぎる対価を払っただけでは飽き足らず、使い魔という魔法少女には何の利益ももたらさないもののためにリスクを犯す。

 さやかの、そんな至心に閉口して、とうとう斬り結ぶに至ったのが、つい最近だ。



 ただし、あたしに歯止めが利かなくなったのは、恐怖が一因したからだ。


 とりわけ清らな花の醸す鉄錆は、あたしに過去の悪夢を見せる。そして、忘我の破壊衝動をもたらす。


 可愛い後輩。可愛い妹。

 さやかは、あたしに手を焼かせていた妹に似ていた。

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