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となりのアイツ AN

第13章 秘密3 まーくん

3-2

高校の部活が本格的に始まって、毎日の練習についていくのがやっと、って頃。

たまに部活が休みの日でも、ヘトヘトで 午前中寝倒してた俺が、夕方になってやっと動き出す気になって かずくんの部屋に行った時。


午前中の練習を終えたかずくんが ベッドの上でコントローラー持ったまま、こんなふうにうたた寝してたんだ。
壁に凭れて、首を横にかくん、ってさせて・・・


胸がドキン、と音を立てたけど、その時の俺にはそれが何故なのか、よくわかっていなかった。

「・・・かずくん、風邪ひくよー?ちゃんと布団に入りなよ」

俺がそう言って肩を揺すっても、寝ぼけてむにゃむにゃ言ってるのが可愛くて笑ってしまった。

壁に凭れたままズルズル・・・って倒れこんだかずくんに布団を掛けてあげて、俺は勝手に漫画を漁って 読み始めた。
お互い勝手知ったるナントカだ。

漫画を読みながら一人でくすくす笑ってると後ろから小さな声。

「まーくん・・・」

「ん?何?」

振り返って見たけど・・・寝てる・・・

・・・寝言?
もしかして俺の夢見てるの?
どんな夢だろう?

また何か言うかな~、なんて思って、しばらく顔を見てたけど何も言わない・・・

ただ くふん、と幸せそうに笑った顔が可愛くて。

それまでだって かずくんのことは好きだとは思ってたけど その時何だか急にドキドキし始めたんだ。

「俺の夢見て笑ってるの・・・?」

俺はしょっちゅうかずくんの夢見てるよ・・・
もしかしてかずくんも俺の夢よく見たりする・・・?
もしかしてかずくんも俺のこと好きだったりする・・・?

なんて。そんなはずないか・・・。


今から思えば かずくんのこと好きだと思ってたと言っても それまでの「好き」なんて、友情と家族愛の混じったものに ちょっと恋愛要素を含んだ程度のものだったんだと思う。

ずっと一緒にいたい、とか大好きだ、とかは思っていても、性的な結び付きについては 考えたこともなかった気がする。

その俺が、その時初めて かずくんの無防備な寝顔にドキドキした。

かずくんが俺の夢見てくれてる・・・
そう思った瞬間、かずくんへの想いが、もしかしたら届くかも知れない?って思えて・・・




気がついたら 俺は かずくんの唇に そっとそっと 自分の唇を触れさせていた

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