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瞳の中の恋人 ~もう一つのプラチナデータ~

第1章 1 リュウとの出逢い

   
   ~1.リュウとの出逢い~


浅間が捜査会議で初めて神楽を見た時に感じたことは、
どことなくリュウに似ているな、という程度のものだった。

それくらいに 二人の印象は異質なものだったと言える。



リュウとは今までに5~6回会っているが、
いつも待ち合わせの時間は深夜。

真深にキャップを被り、下を向いてボソボソ話す。

部屋に入っても 明るくするのを嫌がり、
ごく弱い照明の下 抱き合うのが習慣になっている。



2ヶ月ほど前、
夜更けの新宿2丁目の裏通りで男に口説かれ、
しつこく絡まれているところを
助けてやったのが始まりだった。


「何でこんな時間にこんなところをフラフラしてるんだ。このあたりは 特にお前みたいなのが一人で歩いてたら危険な場所だって 知らないのか?」
「俺みたいなの・・・って?」


青年の肩を抱いて 表通りに向かって足早に歩きながら
浅間は言葉を詰まらせる。


お前みたいなの・・・

華奢で、綺麗な顔してて、
いかにも男をそそりそうな薄い身体から 色気を放つヤツってことだよ・・・


しかし それをそのまま口にするのは憚られた。
自分の 秘めた欲望まで 顕になりそうな気がしたからだ。


「右も左もわからない奴はすぐつけ込まれるってことだ。覚えとけよ」
「・・・うん・・・あの・・・助けてくれてありがと・・・」

「いいさ、特に何かしたわけでもないし」


絡んでいた男は 浅間が声を掛けた途端、
その体躯と人相に恐れをなしたように
あっさりと青年を離したのだった。


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