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瞳の中の恋人 ~もう一つのプラチナデータ~

第1章 1 リュウとの出逢い


「あの・・・でも、何かお礼を・・・。って言っても・・・俺、金はないんだけど・・・」
「お前な・・・そういうこと言ってると ほんとに危ないからやめろ」


コイツは 自分がどんなに他人を惹きつける容姿をしているか 自覚してないんだろうか?

それとも・・・分かってやってるのか?

助けたつもりの俺が、実は罠にかかってるんだろうか?


刑事を長く続けているうちに、付き合っていた女は
いつの間にか浅間の下からいなくなっていた。

もう1年以上も前のことだ。


それ以降は 欲望を満たしたくても 刑事という職業柄、
気軽に風俗に行くわけにも行かず、
また実質そんな時間も気力もないまま 
仕事で駆けずり回っては、
家には ただ寝に帰るだけという生活を続けていた。



今の事件が起きる少し前に、
たまたま夜早く帰れる日があり、
一人酒のついでに なんとなく新宿へ足を向けたところ 
あんな出会いがあったというわけだ。



以前から 恋人、という存在の女の身体に溺れることも 
のめり込むこともないまま、
比較的淡々とセックスしていた浅間だったが、
だからと言って 特に男に惹かれた経験もないまま 
ここまで生きてきた。


自分には 愛情そのものが欠落しているのだろう、
と思っていた矢先の リュウとの出会い。



あの日、自分でもわけのわからないままに
リュウに惹かれ、その日のうちに自分のアパートに連れて行き、関係を持った。



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