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第10章 拉致

「またあの子達来てますね。」

舞台の袖で黒田が俺に言った。

「いちいち報告しなくたって良いよ。」

「黒田さん。本番前にユウヤの機嫌を損ねるようなことしないでくれよ。」

ベースのトモキが出番前の最後の煙草を吸いながら黒田に言った。

「おいユウヤのお気に入りの子ってどれだよ?」

キーボードのリュウが黒田に聞いた。

「内緒です。」

黒田がはぐらかすと、リュウは袖にあるモニターで会場の様子をチェックした。

「あ…れ?あの子この間のライブで怪我した子じゃない。最近関係者席に座ってるけど、誰の知り合い?高校生ぐらいかなぁ。可愛いコだね。もうちょっと大きくなってからお兄さんと遊ぼうね。」

…華の事だ。

俺はモニターを見なくても判った。一番前の席のほぼ中央に座っている。

「どれどれ…。」

トモキが煙草を吸い終わって、モニターを見た。

「ロリコン趣味があるんですか?僕には中学生に見えますけどね。」

トモキがふざけて、ズームにするとリツと笑い合う華の姿が映った。

「ファン食いは厳重注意。未成年者だったらスキャンダルどころか解雇です。」

黒田が真面目な顔をして言った。

「あーあ。セックスするのも年齢確認しないといけねーなんて人気商売もメンドクセーよなぁ。」

リュウが笑った。

「それでなくてもお前は女をとっかえひっかえなんだから、気を付けないとな。」

メンバーの調整係のトモキが、リュウの肩をポンポンと叩いた。

――― 時間です。

スタッフが俺たちに出番を告げた。

…そういえばアイツ、歌いたい歌だけ歌えば良いって偉そうなこと言ってたな。

俺は眩しくてクラクラする世界へと歩いて行った。

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