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第11章 遅れてきた反抗期

あたしは、眩しい光の中で目を覚ました。ゆっくり身体を起こそうとしたが怠くて動けなかった。

…ベッド?病院?

「華…まだ寝てなさい。」

ダディが静かな声であたしに言った。

「う…ん。」

あたしはまた目を瞑った。

「華さん…華さん。」

あたしはママの声で目が覚めた。

「あ…ママ?」

心配そうな顔をしている。

「気分はどう?」

「うーん。なんか怠い。」

あたしは身体をゆっくり起こした。関節という関節が軋んでいるようで痛かった。

「あたしどうしたんだ?」

ママが事情を話してくれた。あたしは個室の大きな部屋に寝かされていた。窓辺には大きな花が飾られていた。

「ああ…それね。ユウヤさん…でしたっけ?あなたを助けてくれた人。あの方が持って来て下さったの。お見舞いに来てくれたんだけど、あなた眠ったままだったから。」

部屋中にバラの優しい香りが漂っていた。あたしはほぼ一日寝ていたらしい。

「あら…何度か起きてトイレへ一緒に行ったじゃない。覚えて無いの?」

ママが笑った。

…うーん。記憶にない。

「腎臓の検査データーが少し悪いから、数日入院しましょうって。」

「大変!真啓くんの家に遊びに行くことになってたの!」

「入院が決まった時に、夏がメールをしてくれたわよ。真啓さんも心配してお見舞いに来ますって。」

あたしはママにあの時の事を詳しく話した。すぐに点滴も外れて自由に過ごせるようになった。

「ママ…シャワー浴びたい。」

ママは看護師さんに聞いて許可を貰って来た。

「ふらふらしたら危ないから気を付けてね。」

あたしは着替えを持って、シャワーを浴びようと病衣を脱いだ。鏡に映った胸には心電図モニターを付けていた時の名残の様なベタベタしたものがくっついていた。

…暫く入院か。リツも心配してるだろうな。

そしてあたしは気が付いた。首筋につく赤いマーク。友達が彼氏の家に泊まった後につけていた。

…キス・マーク?

あたしは眩暈が酷くなったような気がした。

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