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第11章 遅れてきた反抗期

「あ…どう…致しまして?」

ユウヤもびっくりしてしまったようだった。

「ごめんなさい。ツアーまで全てキャンセルになっちゃうなんて。それにお花もありがとうございます。」

あの事件で、ツアーが中止になってしまったとテレビのニュースで聞いた。

「ははは…俺は、休みが貰えて嬉しかったけどね。」

そういうと椅子に腰かけた。

「お父さんから聞いたけど、体調はどう?」

ユウヤのすらりと伸びた長い脚では、病院の椅子が小さすぎて座り心地が悪そうだった。

「あたしは元気だけど、検査の結果が悪いんですって。」

「そっか…。」

ユウヤはサングラスとマスクを外した。近くで見るとやっぱりとても素敵だった。

「これ…お見舞い。制限あるか分からなかったんだけど…。」

ユウヤが大きな紙袋から出したのは、大好きな坂●のえびせんべいだった。

「うわぁ♪あたしこれ大好きなんです!」

「そう。それは良かった。」

にっこり笑った顔はもっと素敵だった。正しくは、どんな表情でもカッコが良いんだ。

「あの…お聞きしたいことがあるんです。」

あたしは、あの時の状況を全く覚えていないし、パパ達からも掻い摘んでしか話を聞いて居なかった。

「あの時、どんな状況だったか…知りたいんです。パパ達は掻い摘んでしか教えてくれなかったから。」

ユウヤはそのグレーの大きな瞳であたしをじっと見つめていた。

「そうなんだ。」

「はい…だからお聞きしたくって。」

少し考え込んでから、あの時の状況を話してくれた。人工呼吸をしてくれたのがユウヤと聞いて、あたしの顔は火がついたように熱くなり、真っ赤になった。

…ファースト・キスと言えるのかな?

「キスするのが、俺でゴメンね。」

ユウヤは済まなそうに笑った。

「いいえっ!初めてのキスがユウヤ…さんで良かった…です…って意識が無いのにファースト・キスって…言えるのか…判らない…けど。」

慌てて否定はしたものの、尻すぼみに声が小さくなっていくあたしを見て少し驚いた顔をした。

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