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第12章 悪い子の勧め

「なんだそれ。」

空がまた笑った。あたしはサンドウィッチを頬張った。

「暫く外出禁止だし…あーあ。」

大きなため息をついた。お腹が落ち着いてあたしは空から少し離れた場所で横になった。

「じゃぁ…そんなに嫌なら良い子辞めて、悪い子になりゃ良いんじゃね?」

空の雲がゆっくりと動いていく。

…明日も晴れかなぁ。

「悪い子?」

あたしは空を見たけれど、空は目を瞑ったまま腕を頭の下で組んだまま横になっていた。

「お前のやりたいことって何だよ?」

「あたしが今やりたいこと?」

「ああ。それがやりたくて出来ないから怒ってるんだろ?」

「うん…取り合えず、プロトの次のライブには行きたい。」

「それから?」

「うーん。夜遅くまで友達と公園で話をしたり、カラオケやゲームセンターへ行ったり、クラブへ行きたい!!それにアルバイトだってしてみたい。」

「何だよ…それだけか。」

空が笑った。

「お前ってやっぱ悪い子に向いてねーんだよ。」

「真啓はクラブなんて行ってくれないだろうし、夏だって興味無いだろうし…リツに何度も誘われたけど、許してくれないから諦めたの。友達の中であたしだけだよ?」

空が笑った。

「何よっ何で笑うのよ?」

「友達頼ってばっかじゃん。自分一人で行きゃ良いじゃん。」

「ひとりカラオケ?ひとりゲーセンに一人でクラブ?なんかそれ嫌だ。」

…考えてみれば、ひとりでどこかに行ったことってあんまりない気がした。

空がゆっくり身体を起こした。

「よしっ!平日は眠くなっちゃうから、週末頑張るっ!期末テスト終わってからっ!」

何だよそれと空は笑った。

「もう昼休み終わりだぞ。」

空が先に降りて、あたしが次に降りた。

「ねぇなんで女って埴輪なの?」

あたしはいつもスカートの下にジャージを履いている。

「こーゆー時の為に履いてるのっ。なんであんたなんかにパンツ見せなきゃいけないのよ。」

空は静かに笑っていた。

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