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第13章 記憶

「な…なんで空が居るのよ?」

あたしは、真啓の家に初めて遊びに行った。メゾネットのとても広いマンションだった。夏も一緒だ。

「居ちゃ悪ぃか?」

「うん。」

そんないつものやり取りを真啓がにこにこ笑ってみていた。みんな真面目にテスト勉強をしていた。真啓のママは家でピアノ教室をしているので、生徒さんが代わる代わるやって来た。

「あれ?真啓くんのお父さんは?」

「今日は当直明けだからそろそろ帰って来る頃だと思うんだけど。」

そんな話をしていた矢先、真啓のパパが帰って来た。

「お邪魔してます。」

皆が一斉に真啓のパパに言った。

「おっ…みんなで勉強してるのか。偉い偉い。」

真啓のママがスタジオから出てきて、甲斐甲斐しく真啓パパの面倒を見ていた。

「美男美女カップルだよねぇ。」

あたしはうっとりと眺めた。真啓のパパは本当のパパでは無いけれど、真啓が生まれた時から面倒を見てくれていたらしい。あたしたちが居るリビングへやって来た。夏も空も面識があるようだった。

「えっと…君は?」

あたしは自己紹介をした。

「おぉ♪君が夏の妹の華ちゃんかぁ。可愛いねぇ…。」

真啓の方をチラチラと見ると、真啓の顔がみるみる赤くなった。

「真啓のガールフレンド?」

「お父様っ!!違いますっ。華ちゃんはお友達です。」

真啓は慌ててパパに言った。空と夏が真啓の様子を見てゲラゲラと笑った。みんなゆっくりしてってねと言って、真啓ママと嬉しそうに話をしていた。

「華ちゃん…ごめんね。父はあけすけな人だから。」

真啓とは正反対の性格のようだった。時々様子を見に来ては、夏や空と話をしていた。ふたりとも真啓パパとは気があうらしく、勉強もそっちのけで話を始めていた。

「暫く時間掛かりそうだから、CDでも選ぶ?貸すよ。」

真啓は、部屋に案内してくれた。天井まである大きな棚にびっしりとCDが並んでいた。全てクラッシックだ。

「夏が言ってたけど、凄いねぇ。」

「疲れた時には、ここでCDを聞くんだ。」

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