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第14章 ファースト・ダンス

「お前女と遊び過ぎて練習サボってんだろ?」

俺は、レコーディング中にキーボードのリュウを睨んだ。

「何だよそれ…こっちは、お前の居ない時もスタジオに来て練習してるっつーのっ!」

「練習してる割にはちっとも上手くねーじゃねーか。」

毎日リュウは違う女の所に通っているのを知っていた。レコーディングが長引いて皆が疲れていた。

「おま…こんな詰め込みになってんのは誰のせいだと思ってんだよ!黒田さんおれやっぱり納得いかねーよ。」

黒田はいつもの事だと我関せずだったが、携帯が鳴り電話の対応をしていた。

「ユウヤ。華さんが来たって。おばあちゃんも一緒だそうだ。」

黒田はそっとユウヤに耳打ちした。

…おばあちゃん?

「後は、付き人の柳田に頼んでおいた。わたしは、顔をみられているんでね。」

「ああ。」
暫くすると、スタジオのロビーに大きな荷物を持って華が現れた。

…なんだそれ。お前は家出少女か?!

「誘ってくれてありがとうございまず♪」

緊張しているのか、頬に少し赤みが差して居た。

「ああ…それよりどうしたのその荷物?」

あいつは両手に大きな紙袋を持っていた。

「あこれ…おばあちゃんが持たせてくれたの。ご飯…差し入れ…です。」

ロビーのテーブルの上に置いた。他のメンバーもぞろぞろと出て来た。

「あ…この間の中学生?」

無口なドラムのトオルがあいつを見て言った。

「あたし…中学生じゃありません。高校生です。」

そういいつつ華はぺこりとお辞儀をした。ぞろぞろと他のメンバーも出て来た。

「おお~すげー!誰かケータリング頼んだの?」

「華のおばあちゃんが作ったんだって。」

向こうからやってきた華のおばあちゃんを見て驚いた。

「トーコ…さん?」

俺は気づかれるかも知れないと緊張した。

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