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第14章 ファースト・ダンス

「初めまして♪華の祖母の春です。どうぞ皆さんで召し上がって下さいね。」

スタッフに食事をテキパキと配り始めた。和洋食どれもとても美味しそうだった。

「うちのおばあちゃん…よくママと間違われるんだけど、春さんです。」

華はにこにこと笑いながら、俺に言ったが、あいつの母親にそっくりで驚いた。

「華を助けてくれたそうで本当にありがとうございます。」

春は俺に深々と頭を下げた。

「おばあちゃんと一緒なんて…と思われるかも知れないけど、華の両親が、あの事件以降過敏になってしまってね、だからわたしが、付き添いをしたんですの。」

…見れば見るほど母親にそっくりだった。

スタッフが入れ替わり立ち替わり、食事に来た。

「ユウヤもお腹が空いたでしょう?」

華は俺に微笑んだが、春の手伝いをしながらだった。ユウヤは不思議だった、普通自分が好きなアイドルや歌手に会ったら、リツの様に興奮したり、緊張したりするのが当たり前なのに、華は違う。誰に対しても物怖じしなかった。

「え…ああ。」

俺は他のメンバーと楽しそうに笑う華を眺めていた。

「お母様は、お元気?」

…えっ?

俺は、春に突然声を掛けられた。

「お父様から聞いたの。あなたがバンドしてるって。覚えていない?」

俺は顔をじっと見つめるしか無かった。

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