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第14章 ファースト・ダンス

「あなたも華さんも5-6歳の頃だったかしら?あなたはご両親に連れられて、家に遊びに来て、ダンスを踊ったの。葉山の家で…あなたは宮ノ下さん…お父様に連れられて、華さんとダンスを踊ったのよ?」

俺はそれを何となく覚えていた。とても大きなホールで、小さな女の子と踊った。

「ガクさんとトーコ…えっと華さんの両親が、ダンスしているのを見て、あなたトーコと踊りたいって言って聞かなかったのよ。」

春は昔を懐かしむように笑った。そう言われて初めてあの時のことを鮮明に思い出していた。ブルーのドレスを着た女の子。年齢が同じだという理由で、踊らされた。俺は、可愛らしいあの人…華の母親にダンスを申し込んだ。

(あなたは、大分年上の女性が好きなのね。)

あの人は、ちょっと驚いた顔をしたが、快く俺と踊ってくれた。

「学校とバンドじゃ大変でしょう?このことは、華は知ってるの?」

俺は静かに首を振った。

「いいえ。彼女も彼女のご両親も知りません。父は母と離婚して、俺は母親の姓を使ってます。」

突然、大きな笑い声がロビーに響いた。リュウがまた下らない冗談を言ったに違いない。

「そう…お母様は今どちらに?」

「イギリスに残り、弁護士をしています。」

俺はユウヤと言う名前と年齢以外は公表していない。親父とは、黒田が連絡を取り合ってるぐらいで、俺はもう何年も話をしていなかった。

「お父様にこの間お会いして、息子さんが私の孫と同じ高校に通ってらっしゃるって言ったのでとても驚いたの。」

…そうか…親父経由でチケットを取っていたんだ。

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