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第15章 夏休みとそれぞれの想い

「なぁ ユウヤ。この間来てた子。名前何だっけ?とっても若いおばあちゃんとご飯持って来てくれた子。」
普段は無口のドラムのトオルが、俺に話しかけて来た。
「華のこと?なんでだよ。」
テレビ番組の収録待ちだった。
「可愛かったなぁと思って。」
「トオルお前…ロリだったのか。知らなかったぜ。女の話をあんまりしねーから怪しいと思ってたんだよなぁ。」
遅れて来たキーボードのリュウがバタバタと着替えをしながら笑った。

「だって16歳でしょう?僕とだったら、4歳違いだもん。あと4年待ってご覧よ。あの子絶対可愛くなると思うよ。」

「あの子のおばあさんも、おかあさんも皆綺麗ですよ。おばあさんの春さんだって、ああ見えて70歳近かった筈でしたよ確か…。」

黒田が口を挟んだ。

「えーーーーっ。あのおばあちゃんが?うちの母ちゃんと同じぐらいかと思ってたよ。凄いね…驚いた。」

ベースのトモキが読んでいた競馬新聞から顔をあげた。

「また来るように言ってよ。作り物の女の子達よりも、自然で良いよなぁ。」

「ケータリングより断然美味かったよな。金払っても作って来て欲しい。」

「おばあさんは料理研究家で本を出してるんですよ。」

黒田が俺の顔をチラチラと見ながらまた口を挟んだ。

…いちいちこっち見んな。

「実は俺、Line教えて貰っちゃったもんねぇ。」

トモキは再び新聞を読みながら言った。

「お前…いつの間に。」

メンバーの手の速さは、折り紙付きだ。真面目な華ならすぐに騙されるような気がする。

「駄目だっ!華は俺のものだ。」

俺は思わず声を荒げた。

…えっ?

一斉にメンバーが俺の顔を見た。

「マジか…。」

「Rinはどーすんだよ?」

高校生シンガーソングライターで、何度か俺と恋の噂があったが、全くのでたらめだ。
学校が夏休みの間は、雑誌や音楽番組、CDジャケットの撮影などぎっしり予定が入っていた。真啓に誘われていた熱海での花火大会も、行けそうに無くて、俺はイライラしていた。

…真啓に聞いて貰いたい曲があったのに。

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