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第16章 カレントが運んだ切ない夜

朝起きると夏も真啓も居なかった。あたしとリツは春さんが作ってくれた遅い朝食を食べた。

「今日はあたし浮き輪持ってく♪そしたら迷惑掛けないし…。」

リツはふわぁっと大きな欠伸をしながら、焼き立てのパンを食べていた。

「迷惑じゃないと思うけど、華がそういうなら持って行けば?」

昨日は遅くまで話していたお陰でふたりとも寝不足だった。

「あなた達疲れてるのなら、海に入るのは止めなさいね。」

春さんが心配そうにあたし達に向かって言った。

「うん♪大丈夫。」

リツとふたりで浜辺へ行った。真啓と夏は、沖の方でプカプカと浮いていた。

「あたしふたりを呼んで来るよ。華は、危ないからここで待っててね?」

「あっ…浜辺で待ってた方が…。」

リツはひとりでさっさと行ってしまった。リツはあっという間に二人のもとにたどり着いていた。

…結構距離あるけど…浮き輪があるし大丈夫かな?

あたしは波の余りたっていない場所を見つけた。

…あそこなら大丈夫そう。

あたしが浜辺でウロウロしていることに気が付いた3人が手を振っていたので、振り返しながら水際へと歩いた。3人とも一生懸命あたしに手を振っていた。

…はいはい。判ってますって…3人がそこに居るのは判ったから。

あたしは、ゆっくりと水に入り浮き輪を浮かべた。浮き輪がすいーっと波も無いのに流れたのであたしは慌ててそれに捕まった。バタバタと足を動かすだけで、簡単に前に進んだ。岸からどんどん離れていくのであたしは急に不安になって、慌てて引き返そうとした。

…あれ?

一生懸命足を動かしても、どんどん沖へと流されていくような気がした。進んでも逆方向の沖へ沖へと進んで行く。

パニック。

真啓がこちらに泳いでくるのが見えたけど、どんどん引き離されていく。そうだ左手の方にテトラポットが沢山あったところがあったから、あそこなら浅いかも?

「…じゃ…い!」

真啓が何か叫んでいたけれど聞こえない。

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