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第16章 カレントが運んだ切ない夜

――― パチン。

華が大胆にチョコレートを割ったまでは良かったけど、きっちり半分には割れず、大きいのと小さいのにわかれてしまった。

「はい♪真啓どうぞ。」

躊躇もせずに僕に大きい方をくれた。

「いいよ…僕がそっち貰うよ。」

「ううん。大きい方食べて。だって真啓の方が身体が大きいんだもの。あっ。それに乾パンもあるし大丈夫だよ。」

華は頂きますと言ってさっさと食べ始めた。

「ありがとう…頂きます。」

いつの間にか雨がやんでいた。突然、無線機から声が聞こえて来て、ふたりとも飛びあがった。明日の朝にはここに来れるだろうと言われた。華のおばあちゃんの声が聞こえた。

「真啓さん?良かったわ無事で…。どうぞ華ちゃんを宜しくね。」

「はい…。」

嵐が過ぎ去ったので、ノイズも無く綺麗に聞こえた。

「貴方も色々と大変だと思うけど…頑張って♪」

後ろで夏の笑い声が聞こえた。

「なんか…ほら…なんでしたっけ?新治くんと初江ちゃんみたいじゃない?」

春さん…潮騒だよと夏が後ろでまた笑った。

「あっ…そうそう♪それそれ。じゃぁ頑張ってね。」

僕の顔が見る見る赤くなるのが判ったけど、懐中電灯の光だけなので、華には見えなくてほっとした。華は呑気に僕と居るから大丈夫だと答えて無線を切った。

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