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第16章 カレントが運んだ切ない夜

「でもラインで連絡を取り合えば良いよ。僕も出来るだけ返事を書くようにするから。」

「うん。」

雨は激しくなる一方だったが、華と一緒に毛布に包まり、ぽかぽかと体は温かかった。

「あたしと真啓がこんな風に過ごしたって知ったら、真啓ファンは激おこだね。夏に口止めしとかなくっちゃ。」

雷はだんだんと近づいて来ているようだった。

「そんなことは無いんじゃない。ファンなんて大げさだよ。」

…僕は華に見てて貰えさえすればそれで良いよ。

「ねぇ…真啓?」

華がゴソゴソと動き、温かい空気も揺れ動いた。

「うん?」

「ちょっと怖いから…くっついても良い?あっ…でも嫌…だよね。」

地響きと共に大きな音がすると華は小さな声をあげて耳を塞いだ。

「華…なら良いよ。」

遠慮がちにくっついたものの、ひと際大きな音がすると、僕の胸にぴったりとくっついてきた。

「…ごめん…ね。」

僕の中にまた衝動が暴れ出していて、思わず華をギュッと抱きしめた。

「ありがとう…。」

華は、動かずにじっとしていた。

――― 長い沈黙。

僕の衝動がギシギシと音を立て始めた。滑々としている肌、呼吸するたびに、押し付けられる柔らかな胸。

「華ちゃん…僕は…君のことが…。」

華は静かにそのまま僕に身体を預けている。

「…好きだ。」

溢れ出てしまった言葉。

…。

「…華ちゃん?」

そっと華の顔を見ると、寝息を立てていた。

…さっきまで、普通に話をしていたのに。

僕は大きなため息をついた。

…この数分間の僕の胸のドキドキを返してほしい。

ラジオからはショパンのワルツ13番 変二長調が甘く静かに流れていた。僕は余りのタイミングのよさに苦笑した。

「君は…僕のコンスタンツィアだよ。」

僕は、呟いていた。そして華の寝顔を飽きることなく眺めながら、切なく長い夜を過ごした。
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