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第17章 真啓の決意

「ケンタさんの話を聞いて居たから、慌てずに済みました。」

真啓とあたしも荷物運びを手伝った。

「華ちゃん。夜は怖く無かったかい?」

「いいえ…真啓と…一緒だったから全然。」

あたしは恥ずかしくて真啓の顔が見れなかった。

「そっか…良かったな。幽霊話をしてあげなかったのかい?」

ケンタさんは意地悪そうに笑った。

「幽霊話?何ですかそれ。」

真啓は何も言わずに黙っていた。

「やっぱり話さなかったんだな。優しいな真啓は。俺がお前ぐらいの時には、ここに女の子を連れて来たら、怖い話の一つでもして一晩中抱き付かせてたぞ。わははは…。」

…わははって…なんかケンタさんって夏っぽい?

「ここお化けが出るの?」

あたし達は片づけを終えて、3人でボートに乗り込んだ。

「潮の流れからあそこの岬から自殺した人や、夜釣りなんかで行方不明になった人が、ここの浜辺に流れ着くんだよ。」

ケンタさんは、少し離れたところに見える断崖絶壁を指さして笑った。

「ま…真啓。その話知ってたの?」

あたしたちはそんな場所で一晩過ごしたんだ。

「うん…でも華が怖がると思って言わなかったんだ。」

顔が強張るあたしに、真啓は優しくボートを岸から押しながら笑った。

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