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第19章 恋の切なさ

押しつぶされそうな人の波を真啓としっかりと手を繋ぎながら泳いだ。

「うわぁ♪凄い混んでるねぇ。」

「うん。家族でこの時期来る時には、とっても混むから、花火鑑賞は専ら家の縁側だよ。」

あたしがキョロキョロしていてぶつかりそうになると、キュッと手を真啓が引っ張ってくれた。

「ありがと。みんなが言うようにあたしひとりじゃ到底たどり着けなかったと思う。」

「きっとそうだろうね。」

真啓はクスクスと笑いながら否定をしなかった。

「酷い~お世辞でもそんなこと無いよって言ってよ。」

―――― ヒューッ…ドーン。

お腹に響くような大きな音がしたかと思うと、夜空に青色の花が咲いた。

―――― パラパラパラ…。

「うわぁ。こんなに大きいの?」

真啓が指さした方向には、あたしたちが一夜を過ごした岬があった。

「ほら…あそこから打ち上げてるんだよ。だからとっても近くに見えるんだ。」

あたしは首が痛くなる程、空を見上げていた。何重にも色とりどりの花が重なっては、はかなく散っていく。
お互いに写真を撮り合って、約束通り一緒に並んで写真を取った。

「あたし、この写真待ち受けにしちゃおっと♪」

それまではトーフのどアップだったけど、あたしは今取ったばかりの写真を待ち受けにした。

「今年の夏休みは、華のお陰でとっても良い思い出が出来たよ。」

真啓は花火を見ている間もずっとあたしと手を繋いでいた。

「うん。海にも入れるようになったし、洞窟で一夜を過ごすなんて滅多に出来ないもん。」

「そうだね…僕も良い思い出になったよ。来年の花火は見れないと思うから。」

「えっ…。」

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