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第22章 報告

「コンクール次々に入賞して凄いですね。」

パパは真啓と夏が話し合うのを今か今かと待って聞いた。

…パパが真啓の恋人みたいじゃない。

「ありがとうございます。」

「次はいつですか?」

パパはいつも嬉しそうに真啓と話す。

「地区大会がすぐで、その後続けてアジア代表のコンクールがあります。決勝まで残れる様に頑張りたいと思います。」

ママがお茶を運んでくると、ありがとうございますと真啓は言った。

「そうですか。音大に進まず医学部に進学…折角の才能が勿体ないように僕は思います。医者には誰でもなれるけれど、ピアニストは頑張ってもなれるものでは無いでしょう?」

パパはまるで自分の子供の様に丁寧に諭した。

「父と同じように外科医になりたいと思っています。それに音大を出なくてもピアニストになった人は沢山居ます。」

真啓の答えは。いつも誰かに同じような質問をされていたかのように淀みの無いものだった。

「そうですか。どちらにせよ活躍を期待していますよ。」

あたしはただ黙ってそれを聞いて居た。

「あの…それで…今日お伺いしたのは、僕が華さんとお付き合いをしていることをご報告させて頂きたく伺いました。なかなか時間が取れず遅い報告になってしまい申し訳ありません。」

…へっ?

パパは満面の笑みを浮かべていた。

「華さんからは少し聞いて居ましたけれど、本当だったんですね。僕は真啓さんと華さんがお付き合いすることに関して大賛成ですよ。」

…えっ。パパが大賛成?

あたしは少し驚いた。もっと節度あるお付き合いをしなさいとか、門限は守る様にとか口うるさく言われるかと思っていたからだ。

「娘を持つ父親としては複雑ですけれど、真啓さんが真面目な性格だという事は知っていますし、華のお相手が真啓さんで本当に良かったと思っています。こちらからもきちんとあなたのご両親に報告をしなければいけませんね。」

パパは一瞬寂しそうな顔をしたけれど、了承してくれた。

「僕の両親は、全く問題は無いと思います。遅いくらいだと言われました。」

真啓は嬉しそうに笑っていた。あたしは暫く振りに会う真啓にどう接してよいのか判らず戸惑った。

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