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第22章 報告

「真啓さん、お夕飯食べて帰ってね。」

ママはキッチンへ戻りながら真啓に聞いた。

「すみません。残念ですが、今日も夕方からピアノのレッスンがあるので遠慮します。」

真啓は済まなそうに言った。

「そう・・・やっぱり忙しいのね。華とふたりで積もる話もあるでしょうから、華…お部屋でお話しをしてくれば?」

ママが気を利かせてくれた。

「う…ん。」

あたしは何を話して良いのか戸惑ったが、部屋に案内した。

「華の部屋に入るのは初めてかも。」

真啓が微笑んだ。あたしは何も言わずにベッドに腰かけた。

「連絡出来なくてごめんね。雑誌の取材や、恩田教授の知り合いの集まりやレッスンなどでなかなか時間が無くって…。」

「う…ん。」

暫く居心地の悪い沈黙が続いた。友達だった時には、一度だって真啓と居て落ち着かないなんてことはなかった。

「ねぇ…真啓?忙しいのは良く判るから、あたしのことは気にしないで?」

真啓は何も返事をしなかった。

「夏の時には、お互いの気持ちを伝えあうだけだったけれど、僕たちは付き合っているんだよね?」

「実はあたしも戸惑っていたの。真啓は忙しいし、なかなか会えないし、もしかしたら心変わりしちゃったのかもと思って。」

「そんなことは無いよ。華が恩田さんのことを気にしているんだったら心配しないで。恩田教授はアドバイザーなんだ。あの人はウィーンに留学したこともあるし、色々教えて貰っているだけだから。」

「そう…なんだ。」

あたしはホッとするのと同時に、胸にざわざわするものが込み上げて来た。

「僕が好きなのは、華だけだよ。ずっとこうして会って話をしたいと思ってた。どうして連絡をくれなかったの?」

真啓は少し寂しそうだった。

「あたしも…同じ。だけど、真啓の邪魔しちゃいけないと思って。既読が付いても返事が無いし、忙しいんだと思ってたから。」

…ホントは違う。メッセージを送っても返事が無いことが寂しかったからだ。

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