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第22章 報告

「あの夜…ユウヤさんと何をしていたの?」

真啓は緊張した面持ちであたしの隣に腰かけた。

「あの日は、リツと3人でご飯を食べる約束をしていたんだけど、リツが来れなくなっちゃっ…て…。ユウヤに断ったんだけど、折角だからってふたりで食事に行ったりカラオケに行ったりしたの。それだけだよ。」

真啓はあたしを強く抱きしめた。

「そう。」

真啓はあたしの髪の香りを吸い込んだ。

「真啓…。」

とても温かくて大きな胸。あたしはほっとした。

「良かった…聞くのがとても怖かったんだ。ねぇ。これから心配事は出来るだけ共有しよう?会えなくなっちゃうことも増えてるし。僕はとても不安だったんだ。」

…あたしだって同じだよ。

でも、そんなことを言ったら真啓は無理にでもあたしに会いに来ようとするに決まってる。だから言えなかった。あたしは真啓からそっと離れて、ずっと渡したかったお守りを真啓に渡した。芸能の神様と言われる神社のお守りだ。

「これ…本当はコンクール前に渡したかったんだけど、会う機会がなかったから。」

「僕に?華はわざわざ僕の為に買いに行ってくれたの?」

真啓はとても嬉しそうに受け取った。

「うん。」

…どんなときもあたしは真啓の一番のファンだ。

「どうもありがとう大切にするよ。」

真啓はポケットの中に大切にしまうとあたしを再び抱きしめた。

「良かった。ねぇ少しこうしてても良い?」

「うん。」

大きな温かい手があたしの背中に回ると、気持ちがすっと落ち着く気がした。

真啓もあたしとおんなじ気持ちでいてくれた事で少しほっとしたけれど、会えないのは寂しかった。

暫く抱き合ったままだった。真啓の温かい息があたしの肩に掛かる。

「…キスしても良い?」

真啓が小さな声であたしに囁いた。

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