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第23章 幻想ポロネーズ

「カイトくん。何の話をしてるの?」

美咲がにこにこと優しい笑顔を浮かべながらあたし達に聞いた。

「君と伏見くんの婚約の話だよ。話は進んでいるんだろ?」

美咲の顔が一瞬で真っ赤になった。

…真啓と恩田さんが婚約?

「え…ええ。まぁ…ね。今泉さんごめんなさいね。学校の友達には何も伝えて無いの。だから秘密にしててね。」

美咲はにかみながら言い、真啓の元へと戻って行った。

…真啓のママがご挨拶って…婚約の報告なの?

だから、真啓とはもうお付き合いをしないで下さいってこと?それをわざわざ家に言いに来たかったんだ。

あたしはショックに打ちのめされて、身動きが出来なかった。

「美咲ちゃんとふたりで留学なんて…親公認じゃない。伏見くんはカッコいいから昔から女の子に人気があったし、当然だよね。」

真啓がこちらを見て微笑んだ。

…ねぇ。真啓なんで?どうして教えてくれなかったの?

「極端に男性が少ない世界だし、よりどりみどりだよね。まぁ…そう言う僕も結構モテるんだけどね。」

あたしの顔は強張っていた。

…判ってたら、あたし好きって言わなかった。

「ねぇメアド交換しない?あっ…君っ!」

…酷いよ…真啓。

あたしは男の子から離れ、楽しそうにスタッフと話をしている真啓ママのところへと向かった。

「あの…あたし、これで帰ります。」

胸がドキドキして眩暈がした。

「あら…真啓とお話し出来たの?」

真啓ママが、見ると真啓はまだお客さんに捕まって話をしていた。

「いいえ…忙しそうですし…今夜は…お誘い頂きありがとうございました。失礼します。」

…そうだよね。真啓はあたしなんかと全く違う世界に住んでるんだよね。

あたしは悲しみで胸が押しつぶされそうになるのを必死に我慢して、レストランを飛び出した。

…馬鹿みたいに喜んでたのはあたしだけだったんだ。

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