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第3章 Prototype

「今泉〜!お客さん〜。」

休み時間、クラスメートに呼ばれた。見ると、真啓(まひろ)が教室の入り口でにこにこしながら立っていた。

…あっ。

リツがあたしの顔を覗き込みニヤニヤした。

「何よ…リツ。」

あたしは顔をしかめた。

「なぁ~んでもなぁい♪」

恋とは言えないあたしの恋…なのか?まぁいいや。あたしは真啓と一緒に廊下を歩いた。

「…どうしたの?」

真啓は、線が細くて色白で目がくりくりとしている。

「これ…良かったら。僕のお勧めだよ。」

ドヴォルザークのスラブ舞曲集。指揮者はジョージ・セルでクリーヴランド交響楽団 のものだった。

「夏から落ち込んでるって聞いたから。ちょっと個性的な曲だけど、元気になれるよ。」

夏はしょっちゅう真啓の家に行く。クラシックのCDが何千枚もあるって言ってた。真啓のママは、ピアニストでパパは外科医だって聞いた。夏と勉強をしたり、ゲームをしたりピアノをあたしに教えてくれたりする。

「傷…大丈夫?」

真啓は心配そうにあたしをみた。

「あ…これ?うん平気。」

あたしは額を撫でた。

「そっか。」

「最近うちに来ないけど忙しいの?」

「そんなことも無いんだけど。しょっちゅう行くのも悪いかなぁと思って。」

真啓は優しい笑顔を浮かべた。

「また伏見くんのピアノが聞きたいし、ご飯食べに来てよ。夏のパパが喜ぶよ。」

大人しくて優しい真啓は、クラッシックが大好きなパパと話がよく合った。真啓のママのコンサートにも一緒に行ったりするぐらいだ。

「華ちゃんは?」

…えっ。

「華ちゃんは…僕が家に遊びに行っても大丈夫?嫌じゃない?」

真啓は遠慮がちにあたしに聞いた。

「嫌だぁ。伏見くんったら…そんなこと無いに決まってるじゃん。」

「良かった。じゃぁ休み時間終わっちゃうから、教室に戻るね。CD…いつでも良いからね。」

「うん♪ありがと。」

あたしは真啓と話すとハッピーな気分になる。同じ年齢とは思えない程落ち着いている。あたしは鼻歌を歌いながら教室へ戻った。

「どうだった?愛の告白。付き合ってくれって言われた?」

リツが笑った。

「伏見くんはそんなんじゃないよ。あたしが好きだったとしても、きっと何にも思ってないと思うよ。」

…あたしが好きだったとしても。

自分で言ったのにドキドキした。

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