テキストサイズ

+* ゚ ゜゚ *Classmates* ゚ ゜゚ *+

第26章 キスの続き


俺は傷ついたアイツの心を癒したかった。初めての華とのデートだ。

(華:今駅前についたところ。どこに居るの?)

俺たちは人が多く集まる場所でわざと待ち合わせをした。キョロキョロ見回している華を俺は見つけた。学校が冬休みになった翌日。初めてのデート。

(噴水の傍。黒いニット帽。サングラスにマフラー。)

華はすぐに駆け寄って来た。俺はグレーのコンタクトに伊達メガネ、ストロベリーブラウンのウィッグは付けていたものの、ニット帽からは見えないように目深にかぶっていた。化粧はせずにマフラーで口元まで隠していた。

「はぁ良かったぁ。見つけられなかったらどうしようかと思ったの。」

真っ赤な頬っぺたをした華はとても嬉しそうだった。今日は水族館へ行く予定だ。

「タクシーで行こうぜ♪」

俺は当たり前のように華の手を繋いでポケットの中に入れた。少し驚いて恥ずかしそうに笑った顔が可愛かった。

「えーっ。電車じゃないの?」

「だって電車なんてここ最近乗って無いもん。判んないよ。」

デビューして以来俺は電車にもバスにも乗ったことが無かった。

「そっか…バレたら困るもんね。でも結構ここからじゃお金掛っちゃうよ?」

タクシー乗り場までの道のりを華は俺の隣をちょこちょこと歩いた。

「俺と居る時はお金の事なんて気にしなくて良いから。心配しないで。」

出して当たり前と思っている女たちと華は全く違った。

「じゃぁお昼ご飯はあたしが出すね。春さんにお小遣い貰ったんだ。困ったときの春さん頼み♪」

学校では盗み見ている華のその可愛いしぐさを今はしっかり見ることが出来る。

「イルカのショー寒いけどやってるかなぁ。」

タクシーに乗り込んでも、俺は華と手を繋ぎ続けていた。

「ユウヤは、何が観たい?」

隣にくっついて座ると、華がとても小さく感じた。

「うーん。マグロ?美味そうだから。」

「あはは…でも確かに美味しそうだよね。動くご飯テロみたいな感じ?」

…ちょっと違う気がする。

華はいつも口を大きく開けて笑う。飾り気がないその姿も可愛かった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ