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第3章 Prototype

夕食後、部屋に戻ろうとするとママに呼び止められた。

「これあなた宛の手紙よ。」

ママが持ってきてくれたのは、エンボス加工がされた黒い封筒。

…ん?差出人が書いてない。

ママがちょっと心配そうに見てたので、あたしは徐にそれを開けた。

「あっ。ユウヤからだ!」

思わず大きな声が出てしまった。怪我の心配と、ファンレターのお礼。直筆のようだった。あたしは嬉しくてその場で飛び跳ねた。

「あなたが好きなバンドの人からなの?」

あたしはママに見せた。

「あら…綺麗な字を書く人ね。」

日付は、あたしが怪我をした日で、ユウジのサインが入っていた。

「きゃぁ♪嬉しーっ!もうこれ宝物にしちゃう♪額に飾っておかなくっちゃ。」

あたしが大喜びをしているのを見てママはずっと笑っていた。

「静さんは大丈夫でしょうけれど、ガクさんには余り言わない方がいいと思うわ、また心配させるから。」

「うん♪あとでダディに見せよっと♪」

こんな気遣いが出来るなんてあたしは益々ユウヤが好きになった。まるで夢の続きを見ているようだった。

…そうだ♪きっとあたし、ユウヤに恋してるんだ。

部屋に戻ると、携帯にリツから不在着信があった。
あたしは興奮して折り返し電話を掛けた。

「リツ?手紙届いた?」

「うんうん!華のところにもだったんだね!」

リツはいつもよりもでかい声で話した。

「もう超感激!」

ママが早くお風呂に入りなさいと、ドアをノックした。

「あ…ごめん。また明日!学校に手紙持ってきてね。何が書いてるか見せ合いっこしよ♪」

あたしは早口でリツに言った。

「うん。じゃあまた明日ね。」

はーい!今入るー!あたしは大きな声でママに返事をした。

トーフがあたしのベッドの上で丸くなっていた。

「トーフ…聞いて♪ユウヤから手紙貰っちゃったぁ。とっても嬉しい。」

――― にゃぁーーーん。

豆腐は起き上がり体を弓状に曲げて伸びをした。

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