無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「これ渡しておくよ。変な意味じゃ無くて…もうすぐ夏休みでしょ？俺の仕事不規則だから会えるチャンスが増えそうじゃん？」

ユウヤは自分のマンションの鍵をあたしの手に握らせた。2週間ぶりにユウヤと会えた。ほんの短い間だったけれど、それでもとても嬉しかった。

「でも…。」

「マネージャーには君が来る事伝えてあるから大丈夫。好きな時に来て使ってよ。近くにある図書館替わり？本無いけど。」

「本が無いなら図書館じゃないじゃない。」

あたしは笑った。

「たまには違う場所で勉強するのも良いと思ってさ。」

ユウヤの言いたいことは判ったし、時間があればあたしに会いたい気持ちよく伝わった。僅かに空いた時間に作詞作曲をしていることも知ってる。現に今だって、ギターを片手にソファに胡坐をかき、メロディーを思いつくとペンを紙に走らせていた。

「でもそれじゃあユウヤがひとりで寛げる時間が無くなっちゃうじゃない？あたしに会おうとしてくれるのはとても嬉しいけれど、ユウヤの身体が心配。」

ギターを立てかけると、隣に座るあたしをぐいっと抱き寄せた。